「セミナリエ 」体感レポ!

こんにちは。エコロコプロジェクト運営メンバーの山中詩子です。エコロコプロジェクト発の親子体験イベント「セミナリエ」(@学校法人 七松学園 認定こども園 七松幼稚園)に仲間入りしてきました。

『セミナリエ』とはセミの赤ちゃんが長い地中生活を終え、地上に出てきておとなのセミになる瞬間をみんなでお祝いするそんなまなざしの羽化の観察会です。

イベントをナビゲートする“ひとはく”(兵庫県立人と自然の博物館)の八木先生。八木先生の「こどもとおとなはどこがちがいますか?」という問いに、こどもたちから返ってくる様々な見解。この日は園の子どもたちだけでなく、小学生や保護者の姿も。こどもたちの価値観にふれる瞬間でした。

「おとなはせがたかい」
「おとなはけっこんしていて、ゆびわをはめている。」
「おとなはいろんなことをしっている。」などなどの活発な意見の数々。

そこから、ムシの世界のこどもとおとなの違いについて話が展開します。
いろんなムシのこどもとおとなはずいぶん姿が違うことをみんなで写真をみながら共有できました。集まった子どもたちは、ムシ好きな子が多かったからか、次々と出てくるムシの写真をみては「あ、しってる〜!」と一気にクイズ大会のように会場が白熱していきました。

八木先生からムシの世界では“さいごの脱皮で翅(はね)を伸ばしておとなになることを羽化いうこと”と教わりました。

そして、今日は今から公園にセミの羽化を見に行く、そして、今日はおとなになるセミをお祝いしにいく日だよということばにこどもたちのワクワクが高まっていきます。

セミナリエの楽しみ方はとてもシンプル!
①幼虫をみつける(地面の穴をのぞいて確かめる)
②幼虫のうごきがとまったらその場所に目印のリング(光るわっか)をつける
③みんなで観察

この日のセミナリエの会場は兵庫県 尼崎市 街の中の公園です。
公園に到着して、園長先生のかけ声の後、一斉に一目散に駆け走り散らばる子どもたち。ちゃんとどこに行けばセミの赤ちゃんのいる穴があるのかを知っている様子でした。

今回、私自身がとても驚いたことは、目的を持って公園に行けば、いつもの景色が違ってみえてくるという発見です。セミの赤ちゃんのいる穴を地面に見つける、この意識で公園をみてまわる無数の穴が地面にあいていることに気づけます。えっ!?こんなにもたくさん??

そして、こどもたちは見つけるのが本当に上手で感心してしまいました。しかも、「これは、あなだけやったわ。」「こっちにはおるで。」と瞬時に選別しているから驚き。薄暗い中でよく見つけるものだなぁとこどもたちの声と姿を追いかけていました。

セミの幼虫は想像以上に動きが早く、そして、逞しい。木の根っこを乗り越えて、木の幹を登る登る。

こどもたちの声援が飛び交います。「がんばれー!」
こどもと大人が一緒になって地面を、そし一本の木を囲み、温かい眼差しをセミの幼虫に向け声援をおくる。

ちいさな世界でおきてることを丁寧に観察する時間を共有する。

この体験のおおきさはなんなのだろう?その光景を写真におさめながらそんなことを思い巡らせてしまいました。

参加された方はいろんなことをそれぞれに楽しみ体験されたかと思いますが、そのひとつは、ムシの世界にまなざしをシフトさせることで、日常を少し非日常な時間へとすり替え、そして、確かに日々の生活の中の“まなざし”をふるわせていること。そんな日常への余韻が体験の中にあることです。

こどもたちはもちろん、保護者の方も同じように声援を送る姿に感動しました。

私もそんなまなざしのふるえがありました。今回セミたち気づかせてもらったこと。

それは、「自分のタイミング、集団としてのタイミング」について。

セミたちは自分のタイミングで地面の穴から出てきて、自分で羽化する場所を選び、自分のタイミングで羽化を始めるそうです。

後からきいた話では、セミは羽化してしばらくしてからでないと鳴かないそうです。オスの方が少し早く羽化をして、メスの羽化を待ちかまえるのだそう。そのタイミングはセミの一生にとってはとても重要な選択とタイミングです。つまり、個(自分)のタイミングは、種(集団)のタイミングとつながっているということです。

また、自然界は天敵や環境の状態の影響もあり、そのタイミングに乗っていくのはいろんな関連の中でおこる出来事となります。

この日、木に登る途中でアリの集団に襲われたり、羽化の途中で力尽きたり、風で煽られてせっかく羽化したのに木から落ちてしまったセミにも出会いました。

生きること、生きぬくこと。

この日、最後まで、セミナリエ【セミの羽化】を見届けることはできませんでした。
私はセミたちのその後が気になって、翌朝、早起きして、公園を訪ね、覚えている範囲でセミの抜け殻探しをしました。無事に大人になれたのだろうか?と。

この日、曇り空の中でセミたちのこえが鳴り響く公園の空気をしばらく味わってから仕事に向かいました。そのこえは、まるでうたのようで、とても清々しい気持ちになれる朝でした。この日の『セミナリエ』の様子はまたmovie(動画)にしてまたお届けしま〜す。

お楽しみに。

みなさんもこの季節ならではのセミのこえに耳を澄ましてみてくださいね。

2019年7月19日むし,家族でたいけんしたよセミ,公園

Posted by 山中 詩子