春の「お花」あそびレシピ

春の「お花」あそびレシピ

ひょうごエコロコプロジェクトの推進委員の山中詩子(うたこさん)です。私が普段お仕事をしている三田市有馬富士自然学習センター(キッピー山のラボ)のまわりもうららかな春を迎えています。

春のお山は草花が芽吹き、葉っぱがひらき、地面の虫たちが動きだし、蝶々がとびまわり、鳥がさえずりと、生命力にあふれにぎやかです。お花のほのかに甘い香りにも心がウキウキします。春の陽気に感覚がひらく心が弾む季節です。

今回はキッピー山のラボで開催している0~3歳の子どもたちの自然あそび「こつぶっこ」より春の「お花あそび」をご紹介します。エコロコ発信の「おはなぷかぷか」、お花を浮かべたその後の遊びの展開にもおすすめです♪

0~3さいの自然あそびでは、子どもたちの即興性をとても大事にしています。予めその日の遊びのイメージの見通しは持ちながらも、自然環境ならではの偶発性や、その日集まった子どもたちからうまれる気づきや遊びに応答しながら、1時間という時間を子どもたちと創造していきます。毎回の子どもたちの遊びの軌跡は物語のよう。そこには遊びのタネがたくさんあります。

ふりかえると、こうした子どもたちから自然派生としてうまれた遊びをつなげてひとつの活動内容として提案することもできるし、ひとつひとつのプロセスをゆったり味わう体験として手渡すこともできます。

子どもたちの表現が日常にある園の中でなにかアイディアとなれば幸いです。

お花摘み~小さなかごと大きな洗面器~

小さなかごを持って草原にでかけるだけで楽しい気持ちになります。春のお花は小さなお花が多いので、小さなかごがちょうどよいです。しゃがんで草花を摘んでいると、この日は、歩くアリやテントウムシ、そしてカエルに出会いました。大きな洗面器は風に舞う桜の花びらや葉っぱをつかまえるのに大活躍です。時折吹く春風が子どもたちを驚かせ、ときめかせます。

カシワの木の落ち葉が風にふかれて子どもたちの方に向かってきました。地面を這うようにゴソゴソと走るように動く葉に「こわい…」とはじめはちょっとこわがりながらも、だんだんと慣れてきて「ちゃいろのおおきなはっぱ!」と得意げにつかまえてみせてくれました。こんな時、大きな洗面器は大活躍です。

仲間分けからのおままごと

お花摘みに出かける前に早めに遊びにきてくれた子に、ボトルの中にお花をつめていってもらいました。この始まりが、もっといろんなお花でつくってみよう!とお花摘みの動機にもなりました。洗面器いっぱいのお花になったものを持ち帰ると…、いくつかの洗面器に色別に一緒に分けていくと、おままごとがはじまりました。花を選んで小さなお皿や、お鍋にいれて。今度はスプーンでかきまぜて。…月1回開催するこつぶっこでは、おままごとセットは毎回同じアイテムを用意するようにしています。並行遊びに発展しやすいので、小道具は何セットか同じものを用意して、それぞれがつかいたいものを選んでもらえる環境設定を行っています。

ちぎってみよう

おままごとが大人気だったので、傍らでタンポポの花をちぎって洗面器にいれていると、そのことに興味をもってくれる子が現れました。指先をつかって、タンポポの花をちぎっていくと、花が分解されていきます。そして茎とがくになったタンポポを得意げにみせてくれました。お花をちぎると、指の感触や香りなどまた違った花の一面を体感できます。

この日は洗面器でしたが、以前は、親子で、まな板の上に種類ごとに並べる姿もみられました。こうした分解遊びは、子どもたちが植物をよくみることにも繋がっているようです。

お花のボトル(自然に仲間分け)

透明なボトルを数種類用意しています。このボトルはとても人気で、四季を通じていろんなものをこのボトルにいれて、様々な遊びがうまれていきます。

この日、3歳の女の子がいれてくれたボトルは、自然にお花の種類ごとにわかれ、並べられていきました。「今度はピンク」と、子どもたちがとてもよくみて色を感じていることに改めて気づかされます。いつも親子でお話されているのでしょうか?「さくら」と「たんぽぽ」は種名で呼んでいました。こうした会話は子どもの日常の自然の実体験を感じとれる手がかりとなります。

3歳の女の子のお花のボトルは、その後ジュースに変身していきます。(昨年の春からジュースやさんの遊びは続けて広がっています。)

お花のボトル(水をくわえて)

3歳の女の子のジュース遊びから実際にお水を加えてみることにしました。ソースやケチャップをいれる容器(100円ショップに売っている)に水をいれると圧を加えた時にしか水がでないので、水がこぼれる心配がありません。こうした室内の限定された環境でも子どもたちに安心して水を手渡せます。お水をいれると、お花がゆらゆらとゆれ、光が透けて色が一層輝きます。耳元でふると、シャカシャカと音がなり、子どもたちは何度もふってあそんでいました。音遊びにも広がっていきそうです。

そして、最後にはジュースとしてごっこ遊びの中で大活躍でした。乾杯してから飲む姿はとても満足そうです。

お花ねんど(米粉をまぜて)

お花のボトルができたので、この日は米粉も登場させました。チャック式の袋の中に米粉をいれて、お花ボトルの水を中に少量ずついれて、揉んでいきます。子どもたちは刻々と変わる粉の様子と感触に興味津々。袋の中にお花を選んで加えてもらいました。お花が練りこまれていきます。ある程度固まったら、個々に洗面器の中にいれ、子どもたちにじかに触って遊びを広げてもらいました。手のひらでぺたぺた触ったり、つまんだり、まるめたり、お花を上にのせたり、スプーンの上にのっけてみたり…、"お花ねんど"が加わることで、この日広がった遊びがまたつながって、子どもたちの中で広がっていく様でした。米粉や小麦粉をつかった感触遊びは園でもよく行われるかもしれません。いつもの遊びにプラス園庭の植物を加えるとまた新しい子どもたちの表現が広がることと思います。春ならではの草花で遊んでみてはいかがでしょうか?

お花ねんど

子どもたちの遊びの軌跡は子どもたちの心のゆれうごきそのもの。

この日は特に「自分たちがつくったぞ!」という子どもたちからの気持ちの高まりが伝わってきたので、子どもたちと受付のスタッフの方にみてもらって、そのまま目の前で飾り付けさせてもらうことにしました。

自分たちがつくったものを誰かに伝える、大切にみてもらうという体験も子どもにとって自分の表現を大切にしていくことに繋がればいいなと感じます。

私もまた来月の「こつぶっこ」で子どもたちと草花と遊んでみようと思います。くさばなあそびは、私自身が四季の移り変わりを感じることや、植物のことを知る機会(季節性、特徴や構造を知るなど)にもなっています。この春ならではの「お花あそび」レシピがまたふえるのかな♡と楽しみは続きます。また、時折、エコロコのHPでもレシピコラムを綴りますね♪

2023年4月14日家族でたいけんしたよ,植物

Posted by 山中 詩子