どんぐり ころころ そのあとに《キッピー山のラボ企画展示のご案内》

お久しぶりです。ひょうごエコロコプロジェクトの推進委員の山中詩子です。今日は私がこの春から"コミュニケーター"としてお仕事をしているキッピー山のラボの冬の展示《どんぐり ころころ そのあとに》のご案内をしたいと思います。

まずは、キッピー山のラボについて少しご紹介します。キッピー山のラボは来年(2021年)の4月に開館20年を迎える兵庫県立有馬富士公園の中にある自然学習センターです。

6人の個性豊かで専門領域の違うコミュニケーターで、手作りで知恵を出し合ってより魅力的な場であり続けれるようにセンターの中身をつくり動かしています。素朴で味わい深いプログラムや展示、空間です。有馬富士公園も心地よい場所です。

子どもたちの個性や成長によりそいながら、家族で楽しみながら…と、ひとりひとりそれぞれが自然と出会い、本物の生き物を知り、触れるこで発見と驚きがいっぱいの自然体験ができるように、私たちは自然とつなぐ「体験」とは?と日々試行錯誤の対話を続け、環境をつくっています。

探究のはじまり

そんなキッピー山のラボでは、四季ごとに、季節ならではの有馬富士公園を楽しんでもらえるようなきっかけとなる企画展示を行っています。

今回、私は冬の展示の担当となりました。さて、なにを自分はこの場で表現できるだろう?…と思いめぐらす私に、仲間のコミュニケーターが、「うたこさんがいちばん 感動したことをそのまんま表現してみたらいい。」と声をかけてくれました。

それが今回の企画展示のはじまりです。私が公園でお仕事をして一番はじめに感動したこと、それは、春に出会えたどんぐりの実生(芽生え)でした。

この光景を見た時に大切なことを思い出したのです。

私にとって、子どもたちの遊びの世界で出会う"どんぐり"は身近で親しみがありましたが、この時まで、子どもたちに手渡す遊びの"素材"のひとつであったことに気づいたのです。

「どんぐりは、いきている!」

あたりまえかもしれませんが、私にとっては驚き。

身近だけれど、実はあまり知らないこと。
ちいさな一粒につまった生命力を、そして、自然の循環の中で生きるたくましさを、今この時代だからこそ、自分なりに表現して子どもたちに伝えてみたいと思いました。

知識をえることからはじまった表現

ところが、今回"どんぐり"と向き合ってるのにいっこうになにもひらめきません。いつもの発想の仕方では全然面白いアイディアが湧いてこなかったのです。休日に森を歩いたり、どんぐりをみつめてみたりしているうちに時間だけがすぎていきました。その時に手助けしてくれたのが、本という「知識」、自然と向き合い続ける研究者の「ことば」(まなざし)でした。私は自然に対して「知識」をほとんど持ち備えていないからです。今回、たくさんの「知識」と「ことば」(まなざし)に出会うことができ、自分なりに時間をみつけて探究できたことは、とてもよい体験となりました。
(お話をきかせてくださった “ひとはく"の先生たちに感謝!)

それらの「知識」と「ことば」(まなざし)から、どんぐりとどう自分が向き合えばよいか、観察する視点をいただけたのです。すると、どんぐりから自分が感じ取れることが変わってきました。「知る」ことで「感じる」ことの感度が高まっていく、この発想の転換はとても大きく、"どんぐり"にピントがあい、創作する力が湧いてきました。

展示を"こどもの体験" へつなぐ

さて、いよいよ、自分が知ったこと、感じたこと、考えたこと…そうした心が動いたことを、子どもたちにどう伝えるのか、つなげていくかの意識に切り替え、展示という子どもの体験の場へと変換していくことになりました。ここからは、私なりの表現…子どもたちの心がどんぐりと出会ってどう動いていくか、家族でかわされる会話などを想像しながら環境をつくりあげていきます。今回は、コミュニケーターのひとりが素敵なイラストをかいてくれることになり、おかげで、温かみのある空間、「どんぐり ころころ そのあとに」の構想が浮かびました。秋に木から落ちたどんぐりのその後をいっしょに追いかける展示です。

今回は、私が"どんぐり"と出会い、観察していく中で実際、驚いたり、面白かったり、美しいと感じたことを展示空間に「ことば」にして宿していくことにしました。そして、私自身も"どんぐり"と出会って間もないですから、一緒にその"ふしぎ"を子どもたちと追いかけてみたい…そんな想いから、公園でひろった"どんぐり"をそのまま育ててみる実験スペース《ねっこらぼ空間》も設置することにしました。

企画展示期間中、他のコミュニケーターやエコロコプロジェクトも仲間入りしてくれ、いろんなどんぐりにまつわるプログラムを開催したり、成長の過程を紹介する動画《ねっこらぼチャンネル》なども公開していく予定。来館してくれる子どもたちに応答しながらいっしょに進化していくような展示に育てていけたらと思っています。水耕栽培するどんぐりのその後の成長も見逃せません!

さてさて、どうなっていくか。楽しみです~♪

キッピー山のラボ 冬企画展示《どんぐり ころころ そのあとに》は2020.12/19(土)〜2021.3/14(日)まで。

終了したイベントはキッピー山のラボのHP《キッピー日記》でどんなイベントだったかを紹介していきます。

キーワード、"どんぐり"で検索するといろいろ出てきますので、よかったらご覧ください。

キッピー山のラボ 三田市有馬富士自然学習センター | 有馬富士公園にある しぜん・たいけん・ミュージアム (kippy-labo.jp)

このHPをご覧になる先生方の園でも、どんぐりは身近な存在かと思います。ぜひ、子どもたちの遊びのヒントを探しに遊びにいらしてください。そして、こんな活動も面白いですよなど、先生方の情報やアイディアも交換いただけたらうれしいです。


【ひょうごエコロコプロジェクト 推進委員 山中詩子】

2020年12月21日家族でたいけん,植物

Posted by 山中 詩子