秋の「木の実あそび」レシピ

秋の「木の実あそび」レシピ

ひょうごエコロコプロジェクトの推進委員の山中詩子です。

今回は、キッピー山のラボ(三田市有馬富士自然学習センター)で10月に開催した"木の実遊び"プログラムについてご紹介しようと思います。

お山(兵庫県立有馬富士公園)で四季のうつろいを感じ、子どもたちに手渡す"遊び"に変換していく私の日常も3年目となりました。

特に今年は、この秋が訪れるのを心待ちしていました。10月のお山は木の実がみのり楽しめる季節だからです。昨年から「つぎはこんな風に遊んでみようかな?」とワクワクしていました。

①木の実さんぽ(観察)

キッピー山のラボでは、四季を通して公園の中をコミュニケーターといっしょに歩く「おさんぽ」プログラムがあります。植物や虫に詳しいコミュニケーターがいるからこその体験です。

10月は木の実に着目してのお散歩。

キッピー山のラボの「おさんぽ」プログラムは、私自身、毎回、自然についてたくさんの発見があるので、時間をみつけてはスタッフとして同行し、一緒に歩くようにしています。

木の一年間を追いかけると、木の時間がだんだんとつかめてきて、なかなか覚えられなかった名前も友達の名前を覚えるようにある時、すーっと入ってくるようになりました。まだまだ知らないことだらけですが、私の中で、木との距離感がいつのまにか変わったのですね!

写真は子どもたちの大好きな木の実遊び。コブシの実からつやつやのオレンジ色の種をひっぱると糸みたいなものがでてきます。不思議、そして面白い!

②木の実でお絵かき(触る・描く)

木の名前と場所を私自身が覚えたらやってみたかったこと。

それは、子どもたちと木の実を採集していっしょに創作することです。今年はいよいよ、実現できました。公園に特別に許可をもらっているからこそできる特別感♪子どもたちとおしゃべりしながら木の実を摘んで、森の中で絵を描くことにしました。

描くといっても、作品を完成させることを目的とするのではなく、遊びの延長線上に描くがある時間を大切にし、子どもたちが木の実とどう向き合うかを見守りました。白い画用紙の上に、摘んだ木の実を出してみること、種類ごとに分類すること、大きさ順に並べてみること…など。この日はセロハンテープでとめる時に、実がつぶれて汁がでたことの気づきから、その後、つぶすということにはまった子もいました。子どもたちそれぞれが、自分がみつけた発見から様々な絵がうまれました。

③木の実のおべんとう(ごっこ遊び)

「木の実のおべんとうをつくろう!」はキッピー山のラボの秋の一大イベントで、ここ何年もこの季節になると実施されているプログラムです。

色とりどりの木の実を、おべんとうの具材に見立てて、自分で選んだもので自分だけのおべんとうを完成させるのです。子どもたちだけでなく保護者のみなさんも楽しめる内容です。ずらりと並んだ木の実をみていると、お山の豊かさを感じさせられます。今年はスタッフとして私もがっつり関わらせていただきました。

準備のために、お山にはいり採集する時間は私にとってかけがえのない時間です。実際に木になっている木の実をみることができるのはとても贅沢です。大切な木の実をいただくわけですから、おのずとディスプレイにも力がはいります。

④木の実の色遊び(分類という視点)

「木の実のおべんとうをつくろう」(プログラム)で自然派生した遊びをご紹介します。自分のおべんとうが出来上がると、私たちスタッフのようにお店屋さんになってみたいという子どもが現れだしました。それなら、木の実を房からはずす工程をお手伝いしてくれないか?と頼んでみたところ…数人の子どもたちに大人気の活動となりました。小さな木のスプーンに色ごとに実をわけてもらいました。この作業は子どもたちにとってとても魅力的だったようで、色ごとに分類し、また、ディスプレイする面白さにつながっていました。色別にわけることで、木の実の多様性が視覚的にも伝わる作品となりました。もちろん、ディスプレイしたその後は、また別の子どもが木の実のおべんとうやさんの具材の買い出ものコーナーになっていました。子どもたちが「お店屋さん」というスタッフ側の役割を担う特別な体験にもなっていたようです。

⑤木の実でデザイン(並べる・共同制作)

こちらも、「木の実のおべんとうをつくろう」(プログラム)で自然派生した遊びです。机の上に、木の実や葉っぱを並べていくと…、「わ、お花みたい!」と子どもたちが声をかけてくれます。続けて並べていると、「なんか、花火みたい」と次々と子どもたちが集まって様子をみにきてくれるようになりました。

そのうち、子どもたちが、木の実や葉っぱやお花を置いていきます。いろんな人たちがちょっとずつ加わって、卓上のデザインが変化していきました。

机にいろんな色の布をひいて、木の実や葉っぱをかごなどにいれておいておくと、いろんな遊びがうまれそう。

布地を変えると、木の実や葉っぱの印象も大きく変わります。木の実でデザイン、何度も簡単につくりかえて楽しめるのも面白いですね。

⑥木の実の変化(時間の経過)

採集した木の実をしばらく乾燥させて様子を観察するのも楽しいものです。徐々に葉がくしゃくしゃと乾燥し、木の実がだんだんとしぼんで形が変わり、色も深い色合いに変化していきます。じっくりと時間の経過を楽しむことを木の実は教えてくれました。

枯れていく様子を目でみたり、さわったりして実感することから体験できること、疑問や想像力がわいてきます。

その実感をもって冬の森を歩いたり、また、乾燥した木の実をつかって工作したりといろいろ広がっていくと素敵だなと思いました。

特に私が枯れの経過でおすすめなのは、ヤマノイモの仲間、ノブドウ、ヘクソカズラです。

⑦木の実の光と影あそび(工作と影遊び)

そんな木の実の「枯れる」様子をお家で楽しんでもらうために、「木の実のゆらゆらモビール」というプログラムを先日実施しました。モビールは、土台となる厚紙に絵を描き、紐の先につけたクリップに、用意した木の実を選びはさんでもらうと出来上がります。作り方はとても簡単です。

お家につるして、木の実の経過を観察してもらうきっかけとしての工作。

プログラムでは、その後、繊細な木の実の形をより実感してもらうためにOHPをつかった光と影遊びを行いました。この光と影の活動は、私が以前に携わっていた保育園で学んだものです。OHPにスポイトで水滴をたらすととても幻想的な壁画をつくることができます。

今回は新たに木の実を加えての光と影の創作遊び。

子どもたちはおもいおもいに木の実と光と影の創作を楽しんでいました。つくったもので遊ぶと、つくったものへの愛着も育まれていくように感じました。

日常に"しぜんたいけん"を

木の実のモビールはつくって、お散歩に出かけると、太陽の光をうけて地面にできた影で遊ぶこともできます。紐の先端にクリップでつけたりはずしたりが簡単にできるようひと工夫したことで、より長い時間楽しむことができます。

モビールがあることで、しばらく乾燥させてその変化をみたり、また気に入ったものを探しにでかけたりと、自然と出会いにいく動機となります。

今回は、キッピー山のラボの木の実遊びのお話を中心に、色々な木の実の楽しみ方のアイディアをレシピ風にお届けしました。

こうした遊びは、子どもたちが日常の中で、自然と出会うきっかけやその後の体験に繋がっていくように思います。

キッピー山のラボのHPの中でキッピー日記というブログをコミュニケーターたちで綴っています。ぜひ、園の活動のヒントにご覧くださいね!また、イベントにもよかったらご参加ください。

キッピー日記 | キッピー山のラボ 三田市有馬富士自然学習センター (kippy-labo.jp)